受付、リフレッシュメント
日本のM&A市場は歴史的な転換点にある。マージャーマーケットのデータによると、2025年の案件総額は1654億USドルと過去10年で最高水準を記録し、前年比52.5%という大幅な増加となった。一方で、コーポレートガバナンス改革や良好な資金調達環境が追い風となってカーブアウトや非公開化が前例のない規模で進み、旺盛なディール需要を支えている。他方、地政学的な潮流の変化により、サプライチェーンの自立性強化や外国資本への審査厳格化に象徴されるように、日本はより保護主義的な姿勢へと傾きつつある。本パネルでは専門家が市場の見通しと、現在のモメンタムを維持するために業界がとるべき対応について意見を共有する。
- 日本が進めるコーポレートガバナンス改革と現在の為替動向は、世界の買い手企業にとってのディールフローとバリュエーションをどのように変えつつあるのか
- 投資家は次の有望なカーブアウト及び非公開化対象案件をどう見極めるか
- 世界的なボラティリティから比較的守られていることは、日本のM&Aモメンタムをどのように後押ししているか
- 今後12〜36カ月で、地政学的リスクや外資規制強化がこのトレンドを阻害する可能性があるか
飽和した国内市場、地政学的な変化、そしてサプライチェーン再編が日本企業を引き続き海外企業の買収へと向かわせているが、現在の活動はテクノロジー分野のメガディールが中心となっている。かつては高額なプレミアムを支払うことで知られていた日本企業も、近年は著しく慎重姿勢を強めており、数十億ドル規模のグローバル案件から姿を消している。しかし、東京証券取引所の上場企業に対する資本効率の改善要請や、円安に対するヘッジとして「滞留資本」を活用しようとする動きが、2026年にかけての堅調なアウトバウンドパイプラインを支えている。本パネルでは専門家が市場見通しに関する見解を共有するとともに、このモメンタムを維持するために業界が取り組むべき課題について議論する。
- 現在の地政学的リスクやサプライチェーン自立化の動きの中で、日本企業のアウトバウンドM&Aにはどのような課題と機会が存在するのか
- 日本企業は、海外のスタートアップをどのように統合するのが最適か。またなぜ非テック分野の大型グローバル案件に参加しないのか
- 日本企業はビジネスモデルの革新を促進するためにどのような企業を買収し、案件を実行する上でプライベート・エクイティ(PE)とどのように協働しているか
- 日本企業は円安リスクに対するヘッジとして、どのようにアウトバウンドM&Aを活用しているか
ネットワーキング休憩
世界的な競争の激化や海外企業による買収の脅威の高まりを背景に、日本の大手コングロマリットは国内で非公開化や事業カーブアウトに焦点を当てたM&Aを相次いで実施している。こうした戦略は非中核資産を売却することで中核事業に注力できるようにするだけでなく、(アクティビスト株主からの)収益向上圧力から企業を守る効果もある。こうした動きは、多くの点で日本の国内事情や国家的な政策目標と合致しており、最終的にはグローバルなディールメイキング能力の強化につながっている。一方で、日本市場の開放性を懸念するアクティビスト投資家やグローバル企業からは、批判の声も上がっている。
- 日本における非中核事業のカーブアウトの現状と主な障害は何か
- 企業のM&Aチームは最適なバランスを確保するためにどのような戦略を策定しているか
- エンゲージメントファンドは「優良」な日本企業の秘めたる可能性をどのように引き出し、「最良」の企業へと変革できるのか
- PEファームは日本企業に不足する実行力を補完し、複雑な案件を進めるために経営陣とどのように連携することができるか
ランチ
コーポレートガバナンス改革と積極的な株主アクティビズムの強力な組み合わせにより、日本の公開市場のM&A活動はかつてないほどの活況を呈している。かつてはニッチな戦略だったアクティビズムは、今やディールメイキングの主要な推進力となっている。しかし、財務上の利益が海外のアクティビスト投資家に「流出している」との懸念から、資金力のある国内上場企業と新政権のどちらも警戒感を強めている。これに対し、市場は保護主義的な政策の導入に備える一方、買収対象企業は主要な防衛策として、PE主導の非公開化(上場廃止)を活用するケースが増えている。
- アクティビストの戦略が攻撃的なものから協調的なものへと変化するなかで、日本企業はどう対応しているか
- 日本企業の取締役会は、株主の圧力に先手を打つために、戦略的防衛策(カーブアウトや非公開化)をどのように活用しているか
- アクティビスト主導の戦略的防衛策の台頭をPEはどのように活用できるか
- アクティビスト活動の増加に対し、規制環境はどのように変化する可能性があるのか
ネットワーキング休憩
ヘルスケアM&A:世界的成長エンジンの探索
日本の医療費の高騰により、年金基金はより高いリターンを求めるよう迫られており、大手製薬企業を中心に、株式価値の向上を目的としたコーポレートガバナンス改革が進められている。さらに日本ではAI導入が限定的であることから、DX(デジタルトランスフォーメーション)や革新的技術の獲得が引き続き企業の重要課題となっている。安定的で拡張性があり、ハイテク分野と適合性のある資産を確保するため、企業は近代化、イノベーション、成長を実現する最も効果的な戦略としてM&Aに目を向けている。しかし契約締結やイグジット計画の段階で案件が停滞するケースは少なくなく、多くの日本のヘルスケア企業は超大型アウトバウンド案件の経験を十分に持ち合わせていない。本パネルでは、主要なヘルスケア投資家や業界専門家がこれらの課題を検証し、クロスボーダー統合を成功させるための戦略を明らかにする。
- 2027年の日本のヘルスケアセクターにおけるM&Aの見通しは
- 国内製薬企業のアウトバウンドM&A戦略の特徴は何か
- 取引以外の点で、日本のヘルスケアセクターにおけるM&Aは、買収後の業務改善、ガバナンス改革、新たなビジネスモデルをどのように推進できるか
- ヘルステックのイノベーションやAIへの投資において、日本企業はどのような戦略を採っているか
国内外のPEファームは、良好なマクロ経済環境、アクティビストの圧力、コーポレートガバナンス改革を追い風に、日本市場で積極的に機会を捉えている。また深刻な後継者不足に直面する日本の中小企業は、これまで以上にM&A市場に活路を見出そうとしている。しかし、優良資産が豊富にある一方で、激しい競争や、高いバリュエーションと実際の収益性との乖離により、PEファームが買収価格を正当化することはますます難しくなっている。同時に国内の大手PEプレイヤーは、こうした国内の機会を捉え、大型案件の上位層で競争できる「国内大手企業」を創出するため、積極的に新規資金の調達を進めている。
- 日本のM&A市場に参入するうえで、国内PEとグローバルPEはどのような異なるアプローチを採り、互いの戦略から何を学ぶことができるか
- 高いバリュエーションと激しい競争により、多くのプレイヤーがメガディール市場から締め出されるなか、日本におけるPEのアルファ創出の主戦場は完全にミドルマーケットへと移行したのか
- PEファームは、非公開化取引のカタリストとしてアクティビスト・キャンペーンをどのように活用できるか。またアクティビストとの関係性に対する懸念の高まりにどのように向き合っているか
- 今後12カ月で最も活発になるイグジット手段はどれか
カクテル・レセプション
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